SSブログ

オーボエのリード 削り方 微調整 [音楽]

今日はオーボエのリードの削り方についてです。

以前もこのテーマで記事を書きましたが、毎日多くの方にリードに関するページを閲覧頂き、メールでも質問を頂くので、今回はさらに詳しく書きたいと思います。

ある程度長くオーボエを演奏している人、リードも自分で作っている人にとって、よりよいリードの削り方というのは大きなテーマだと思います。
今日はリードを削る時によくぶつかる問題について、個人的な意見ですが今までの経験を元に書きたいと思います。


まずはナイフをどのように使うか簡単に説明します。

(右利きの人は)右手で削るというよりは、左手の親指でナイフを押し出すという感覚で削ると良いと思います。
右手は
「たくさん削りたい時にはナイフをリードに強く押し当てる」、
「もっとたくさん削りたい時はリードとナイフの角度が垂直ではなく、少しだけナイフを寝かす」、
「少しだけ削りたい時は弱く押し当てる」
という具合にナイフを持っている手を動かすのではなく、「圧力を与えたり、角度を付けるだけ」と思ったほうが良いでしょう。




次にどの部分を削るかというと


吹き心地が重く、まだリードが厚いと感じた場合はここを削ります。
3-3.jpg                   
中心部分(オーボエ奏者の中では背骨と言っています)を削り過ぎないように注意しながら、先端や両サイドに向かってなだらかに薄くなるように削ります。

背骨と言われている部分
3-9.jpg


リード全体は充分薄く削ったのにまだ重くて吹きづらい時はまずここを見ます。
3-4.jpg
なるべくこの部分を削って調整した方が良いのですが、それでもまだ重い場合は先端の薄い部分の真ん中を少し削ります。
3-6.jpg
ここを削った時に薄くなりすぎると、真ん中や高音の C や H の音が細くて硬い音になったり、第2オクターブキーを使った高音の音程が取りづらくなることがあるので、極力ここは削らないようにした方が良いと思います。
削るとしても、薄い部分の両サイドよりは厚い状態を保つようにしましょう。


音色はまぁまぁだけど、少し硬めで抵抗がある時はまずここを見ます。
3-4.jpg
この部分がもう充分削ってあったら以下の部分を削ってみます。
3-7.jpg
要するに、先端の薄い部分からスムーズにリード全体に振動が伝わるために、急激に厚くならないようにするということです。


高音が楽に出ない時
3-2.jpg
ここを削ると高音は楽になると思いますが、第2オクターブキーで出す高音域が細くなったり全体的にパワフルな音が出にくくなるので気をつけて下さい。
ちなみにこれはW型ではなく、U型の人用です。

自分も昔はU型に削っていたのですが、より幅の広い舟型ケーンを使いスクレープを(10ミリから12ミリへ)長くしてからは根元の部分が薄くならないようにW型にかえました。


音がクリアすぎてもっとソフトな音にしたい時は両サイドを全体的に削るといいと思います。
3-8.jpg
一般的にリードの中心線(背骨部分)と両サイドの厚さの差が少ないとクリアな音に、差が多いと柔らかい音になります。
ただ、ここを削りすぎると息が入りづらくなり吹き心地が重くなるので、反応が良く弾力性があるならばクリアの音のままの方が良いと思います。


下の方の倍音があまり鳴っていなくて音がキンキンする時は根元の方を削ります。
3-5.jpg 次に 3-2.jpg
ふくよかな音にしたい時は左写真のこの部分を削ります。
ただし根元の部分を削ると強弱がつけ難くなる( pp や ff が出し難くなる)ので注意して下さい。



とまぁ色々書きましたが、リード作りは個人差もあるので先ずは試してみて下さい。

リードというのは材質にすごく左右されるので、まずは材料を選ぶ時に気をつけて下さい。
良い材質だったら少々削り方を間違えても良いリードが出来るので、(材料が良いのかどうか)すぐ分かると思います。
削っていく時に、この様に削った部分の厚さが分かるような器具を使って、計りながら削るのも良いと思います。
1.JPG
同じ厚さや条件でも鳴り方が全然違うことがよくあるので、材料やケーンを選ぶ時の参考になります。

それから舟型ケーンをチューブに巻くときに、ケーンの合わさった部分がずれないように注意して下さい。ケーンがずれていると、それだけで抵抗が出来て重くなります。
ただ高音の音程が下がらないので、わざとずらす人もいますが、フレキシブルさが無くなるので個人的には薦めません。



どうでしたか?

なにか質問があったら、Chopin310@aol.com までメールを下さい。



P.S.
先日ベルリンで買った丸材を一日半かけてかまぼこケーンにしました。

どうですコレ↓
5.JPG

216枚出来上がりました!!
この量(量だけ?)に満足してしまいました。(笑)



以前のリードに関する記事はコチラ
オーボエのリード 丸材選びから
オーボエのリード かまぼこケーンの選び方
オーボエのリード 舟型ケーンを糸でチューブに巻きつける作業
オーボエのリード 削り方





nice!(3)  コメント(18) 
共通テーマ:音楽

nice! 3

コメント 18

MU

200記事おめでとうございます。
毎回大変楽しみに読ませていただいています。

今回の記事も大作ですね。

参考にさせていただきます。
by MU (2011-11-19 22:17) 

Tommy

MUさま
ブログを始める時からお世話になりありがとうございます。
お陰さまで200回になりました。

リードのことになると、色々なパターンがあるのでどうしても記事が長くなってしまいます。
理解してもらえるといいのですが。
by Tommy (2011-11-20 09:26) 

ykam

こんにちは。
岐阜県のアマチュアオーボエ吹きです。
もうずーっと市販のリードを使っていますが、なかなか良いリードに巡り会えず、本番はもちろん、練習するのにも困ります。
昔は、U字型で自作していましがた、縛って削って調整する時間で、市販のリードで練習した方が良いのでは…と思って作らなくなりました。(練習時間が増えたわけではないのですが・・・ アレアレ!?)
お金ばかりかかってはずれが多いので、もう少し時間がとれるようになれば、また作りたいと思っています。
今回の記事は、調整にも役立ちます。参考になりました。
by ykam (2011-11-23 08:56) 

Tommy

ykamさま
コメントありがとうございます。
この記事が参考になれば嬉しいです。
時間がない時は、完成品を買ってきて自分用に微調整をすると良いと思いますよ。
自分も帰国してドイツで作ったリードが直ぐに使えない時は、完成品を買ってそれを調整して使うこともあります。
時間がない時はこの方法もありかなって思ってます。
by Tommy (2011-12-05 07:44) 

andy

こんにちは。
富山県のアマチュアです。
先端がうまく削れなくて、いつも失敗ばかりですが
今回の記事を見て、もういちどチャレンジしてみようと思います。
ありがとうございました。
あと、楽器のリードソケットが狭くて
チューブを差し込む時に、いつもコルクを噛んでから入れているのですが、
何かいい方法はないでしょうかね・・・・



by andy (2012-02-10 12:34) 

Tommy

andyさま
リード作りは根気のいる作業なので、とても大変ですが頑張ってください。

昔コルクの部分に糸をグルグル巻きにして(その上にコルクグリスをぬり)太さを調節していた人がいました。
ちゃんと息がもれずに吹けたかどうかは訊きませんでしたが、使わないリードでこの方法を一回試してみては如何ですか?

by Tommy (2012-02-17 01:30) 

andy

ありがとうございます。

僕は LFのフルGPを14年間使っているのですが
マリゴよりも、リードソケットがかなり狭いんですよ
これから試してみたいと思います。
ベルにSPRINGERって彫ってあるのですが
今のモデルとは違うのですかね・・・・・

特製チューブ いいですね


by andy (2012-02-17 20:18) 

Tommy

andyさま
SPRINGERと彫ってあるならば、それは昔のモデルですね。
フランク氏自身が、「以前とはもう全然違う設計なのでブランド名をFLにした。」と言ってました。
でも以前フランクさんから聞いた話ですが、「宮本文昭さんはSPRINGER(昔のモデル)の方を気に入っていて、その楽器を好んで使っている。」そうです。
ちなみに、今のモデルのリードソケットは、逆に広くて紙などを挟まないと緩すぎますね。
by Tommy (2012-02-20 05:22) 

hkawa

はじめまして。
リードに関して色々と参考にさせていただいています。

1日半で216枚もガウジングですか。壮観ですね。

この中から、鳴らした音程と硬度で選別していくんですよね?
合格率は216分の何枚程度でしょうか、興味あります。

by hkawa (2012-04-04 19:05) 

Tommy

hkawaさま
コメント有難うございます。
先ずケーンをチューブに巻くときの合格率はだいたい20%前後かな。
そこから削ってオーケストラ用に使えるのが10%弱(216枚の中から)、ソロ活動では5%弱(216枚の中から)という感じですかね。
この割合は演奏曲や演奏会場によって違ってくるので、およそこのくらいということです。
by Tommy (2012-04-05 17:32) 

haraguti

こんばんわ
鹿児島の初心者です
オーボエはじめてまだ二ヶ月ちょっとです

もっと木のぬくもりを感じさせる
丸い音を出したいんですが
いまわまだ少し曇った感じです

どうすればいいですか
by haraguti (2012-07-23 00:06) 

Tommy

haragutiさま
コメント有難うございます。

オーボエをはじめて2ヶ月ですか。
時期的に音色の追求より、まだ音質の追求をする時期ですが、自分の理想の音を持っているということは良いことだと思います。

先ずharagutiさんに進めたいことは、息をしっかり入れて下から上まで粒の揃った音を出すということです。
そして口にオーボエ奏者として必要な筋肉が着いてきたら、唇を硬くせずに音を鳴らすようにします。
そうすると柔らかく弾力性のある音が鳴らせるようになってきます。

でもこれは何か月という短いスパンで考えるのではなく、1~3年というもう少し長いスパンで考えて下さい。

すごく簡単に書きましたが、また質問があるようでしたら、Chopin310@aol.comまでメールを書いて頂ければ、もう少し詳しく説明できると思います。

by Tommy (2012-07-25 08:51) 

藤井友子

こんばんは、京都で篳篥を奏しています。リードの削り方についての記事を拝見しました。背骨を残して、気になるところを少しずつ落として行く点、大変参考になりました。
リードナイフの選び方についてアドバイスをお願いします。刃の厚み、刃の角度、刃わたりはどのように使い分けていらっしゃいますか?
これまで右刃青鋼の小刀を何気なく使っていたのですが、重くて、持ちにくく、刃わたりが長すぎて扱いにくいと感じていました。
ファゴット奏者にリード製作キットを見せてもらったところ、左刃、刃の厚み2.5mm, 刃角45度、刃わたり6cm、透明プラスチックの柄付き、というとても軽くて扱いやすいナイフでした。
ご教示、よろしくお願い致します。
tomokinaf@ybb.ne.jp
by 藤井友子 (2013-05-21 00:16) 

Tommy

藤井友子さま
始めまして、コメント有難うございます。
京都で篳篥を演奏している方ですか、素晴らしいですね。
京都には時々行きますが、邦楽がぴったりの街ですよね。
羨ましいです。

さてナイフ選びですが、基本的には自分が削りやすいナイフであれば、何でもいいと思いますよ。
実際ドイツで習った先生は、カッターナイフで削っていましたし、自分もカッターナイフで削っていた時もありました。
ただ薄い刃で削る場合は角度を気を付けないと、ザックリ大量に削ってしまうことがあります。
なので少し刃に厚みがあり、ある程度重さがある方が削りやすいと思います。

by Tommy (2013-05-31 00:56) 

CHIHO

こんばんは
中学生でオーボエをはじめて一年目です。削り方、ひじょうに役に立ちました。質問なんですが軽いリードはどこを削ればいいでしょうか?

あと楽器のせいで音色が悪いということはありますか?私が使ってる楽器はNobletという楽器です。もう20年くらい前の楽器なんですけど。 

いろいろ質問しちゃってすいません。お願いします。
by CHIHO (2014-09-11 19:59) 

Tommy

CHIHOさま
メール有難うございます。
何故だかコメントがアップできず、返信が遅くなり失礼しました。
by Tommy (2014-10-04 18:39) 

Tommy

質問に対してですが、
「先ず軽いリードはどこを削ればいいか?」という質問は少し漠然としているので、考えられる4つの方法を書きます。

by Tommy (2014-10-04 18:40) 

古曽志宜子

はじめまして、突然申し訳ありません。
速いパッセージを吹くとC,D,E,Esの音が割れます。リードに問題があるのでしょうか?あまり開きのない楽なリードを使っています。イライラしてゆきずまっています。良いアドバイスを御願い致します。
by 古曽志宜子 (2018-03-08 21:01) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。